2011年03月02日

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          花梨の花の蕾

この冬は本当に寒い冬でした。ここ九州でさえ最高気温が5度以下の日も続き、北国の生活の皆さまの過酷さを思い知らされました。皆さんはこの冬をどのような思いで過ごされたでしょうか。余りの寒さに室内で閉じこもり、または朝の寒さに起きるのも辛い毎日だったのではないでしょうか。そんな気候の中、寒い外での仕事の人には、ご苦労様と胸の中で唱えずにはいられませんでした。やっと3月の弥生となり日射しにも暖かさが感じられると気を許し始めたところ、また寒波が戻り、まさに三寒四温の季節となりました。これまでは緩やかに春が近づきつつ、春の足音が一歩一歩と季節が巡る感じでしたが、今年は気温の変化が鋭角に変わっていくのが気がかりです。季節が角張って緩やかさを失い、おおらかさとゆとりを失った、まさに人々の有り様を反映したような季節の変わり目を、少し気にかかりつつ春の初めを迎えています。

 中東ではたちまちのうちに抑圧された民衆のうねりに国の形が変わっていっています。独裁が続いていても、長く続くとその国の態勢に無自覚になっていた世界の秩序の認識に、警鐘を鳴らされているような気がします。またニュージーランドではいきなり地震の惨状に見舞われ、いまだ被災者の身元も分からないことに深く心を痛めます。特に安否不明の多くの若者が
19歳であることがむごさを引き立たせています。高校を出て、夢の実現を目指して語学研修の為の勉学の最中に、地震に襲われることは無念でならないはずであり、被災のがれきの下で右足の切断を告げられた奥田さんの思いは、想像を絶するものがあります。

 そのような厳しい世界の現状の中で、国内では政治家たちの国民を愚弄したような、ふがいなさには呆れるばかりです。国民の為とは口実で、自分たちの党利党略でしか動いていないのが、国民の誰もが気づいている事に、気づかない政治家たちの見識の低さには情けない限りです。もっと、格調の高い振る舞い行動、議論をやってくれれば、仕事や生活の労苦、困難に歯を食いしばって耐えている国民も救いがあるのに、これでは国民が政治家を見放すときが来ることを覚悟して欲しいものです。

 春はそこまで来ています。冬が寒ければ寒いほど春を迎える喜びが深いとは、北国の事と思っていたら、ここ九州でも今年は春を待ち望む気持ちがひときわ高いものがあります。春の到来を皆さまは何でお感じになりますか。気温のゆるみは肌で感じます。日差しが長くなっていることも春の証です。街ゆく女性のファッションにもパステルの色彩が多くなりました。私たちが春を待つように植物も春を待ち望んでいるようです。庭の木々は蕾を膨らませています。新緑の蕾であり、花のつぼみでもあります。社会人の蕾である高校生も卒業の季節を迎えました。長い冬の寒さを物言わず耐えてきた庭の木々の蕾を見ると元気をもらえます。何故なら、これから始まる様々な荒波に、今出て行こうと必死に頑張って葉や花を開こうとする蕾に、樹木の生命のエネルギーが蓄えられている姿を見るからです。寒さに耐えた蕾は春が来て花や葉を咲かせます。季節が間違いなく巡ることを予感して蕾は膨らみます。

 しかしながら、NZランドでは蕾の開く夢を絶たれつつある多くの人ががれきの下にあります。残念でなりません。19歳はまさに人生の蕾です。送り出した家族の悲嘆は言葉に尽くせません。しかしながら、NZランドで若者が夢に向かう姿が人生の蕾の姿とすれば、そのことは私たちが学ばなくてはならないことであり、若者達の意思を継いでいくことではないでしょうか。どう継いでいくかは、それぞれ私たちの課題と言えます。

  春はそこまで来ていますが、春の訪れが誰の上にも必ず来るとは言い切れないのがこの世の定めであり、儚さでもあります。人生の酷さ・儚さは誰の上にも宿していることだけは哀しいかな公平です。庭の木々の蕾も鳥のくちばしでかみくだかれたものもあります、明日の見えない儚さは人間も植物も同じです。ただ、この冬の寒さも遠からず去ってゆきます。また、儚さ酷さの先にも、必ず希望の光はまた灯る事を信じて生きていけるのが、人間の強さでもあります。

 暫く古天神の様子をみていません。多分冬の季節のままに違いありません。しかしながら、その寒い風の中でも蕗のとうは芽を出して膨らみ始めているはずです。雪残る冬の土から顔を出す植物の力強さも私たちを元気づけてくれます。次男の受験との闘いも未だ続いております。1年間の努力に報いがあればと願うばかりで、春の訪れの遅さにもどかしさが募ります。蕗のとうが一面に出ている宿の山を想像しながら、古天神に晴れ晴れと行ける日を楽しみに待ち続けています。


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              桜の蕾      
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              サクランボの花の蕾
    
    23年3月2日



 







posted by 風のテラス 古天神 at 21:57 | Comment(0) | 風のテラス便り
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